【2022年度:第12戦】第106回日本陸上競技選手権大会・リレー競技――チームとして本来の力を発揮できなかった国立競技場のレースと、次への誓い

目次

大会情報

大会名:第106回日本陸上競技選手権大会・リレー競技
開催日:2022年10月1日
会 場:国立競技場(東京都新宿区)

レース結果

種  目:女子4×400mリレー
記  録:3分40秒76
順  位:1組2着(決勝へ進めず)
備  考:中村美宇 → 青木りん → 武石この実 → 松本奈菜子

( 出典:東邦銀行陸上競技部 公式サイト「大会日程・結果」
( 出典:日本陸上競技連盟 第106回日本陸上競技選手権大会・リレー競技「リザルト」
( 出典:日本陸上競技連盟 第106回日本陸上競技選手権大会・リレー競技「結果一覧」

考察①「日本選手権リレー」という舞台の特別性

日本陸上競技選手権大会・リレー競技は、個人種目の日本選手権とは異なる性格を持つ。一人ひとりの走力が合算されるだけでなく、バトンワークの精度とチームとしての連携が問われる舞台である。10月初旬という時期は、主要個人種目のピークを経た後にあたり、チームとしての一年の積み上げを確認する場としての意味を持つ。

国立競技場という日本最大の舞台で、日本一のリレーチームを競う。東邦銀行陸上競技部にとっても、重要な位置を占める一戦であった。

なお、上記のリザルト(PDF)から、女子4×100mリレーの大会記録(44秒37)が東邦銀行(2012年)によって保持されていることも確認できる。このクラブが歴史的に日本のリレー界において果たしてきた役割の重さを、改めて感じさせるデータである。

考察②4走・アンカーとして走った松本奈菜子

松本はアンカーの4走を担った。1走・中村美宇、2走・青木りん、3走・武石この実と繋いだバトンを受け取り、チームの走りを締めくくる役割を果たした。

世界陸上、日本選手権、富士北麓ワールドトライアルと積み重ねてきた2022年シーズンの流れの中で、仲間たちとバトンをつなぐこの舞台に立った。個の走りとチームへの貢献という、松本が一貫して大切にしてきたものが、この一本にも込められていたのではないだろうか。

考察③本来の力を下回った記録と、残された問い3分40秒76という記録の文脈

東邦銀行は大学チームにも先着を許し、決勝に進むことができなかった。
3分40秒76という記録は、1走者あたりの平均で換算すると55秒19に相当する。この数字は本来の東邦銀行の走力を下回るものである。何らかのアクシデントを抱えた選手がいた可能性が考えられる。

東邦銀行陸上競技部の公式サイトに、このレースに関する選手たちのコメントは残されていない。しかしこの悔しさは、きっと次の走りの中に生きていくだろう。トップアスリートとして積み上げてきた力を、チームとしての走りの中で十分に発揮できなかったとき——その経験は胸の中に残り、やがて次の舞台への力へと変わっていくだろう。

考察④シーズン後半の一戦として

この大会の後、松本はさらに3試合のレースに出場する。その意味で本大会は、シーズンの区切りではなく、後半戦の流れの中にある一戦として位置づけるべきだろう。

「ここで一度現状を整理して今後の方向を定めて、来年に向けて準備をしていきたい」というオレゴン後の言葉を携えながら、秋のシーズンを走り続ける松本。チームとしての日本選手権リレーを経て、次の舞台へと歩みを進める。

解説――日本陸上競技選手権大会について

日本陸上競技選手権大会(Japanese Athletics Championships)は、陸上競技の日本一を決める大会である。日本陸上競技連盟が主催し、トラック競技・フィールド競技の男女合計36種目を実施する。単に「日本選手権」とも呼ばれる。

第1回大会は1913年11月、「第一回全国陸上競技大会」の名で開催された。以来100年以上にわたって継続的に開催されてきた、日本の陸上競技界における最も歴史ある大会のひとつである。

毎年6月に開催され、夏季オリンピック・世界選手権などの国際大会開催年は日本代表の選考会を兼ねており、選手たちにとって特別に重要な意味を持つ大会となっている。参加資格は原則として日本国籍を有する日本陸連登録競技者に限られており、参加標準記録を突破したトップアスリートのみが出場できる。

解説――日本陸上競技選手権大会・リレー競技について

日本陸上競技選手権大会・リレー競技は、日本陸上競技連盟が主催するリレー種目の日本一を決める大会であり、男女4×100mおよび4×400mの4種目が実施される。個人種目の日本選手権とは開催時期・会場を分けて実施されており、例年10月に行われている。

この大会の特徴的な点は、トップアスリートによる日本選手権としての競技会と、誰でも参加できる「みんなでつなごうリレーフェスティバル(リレフェス)」が同じ会場・同じ日程で一体的に開催されるという形式にある。「そこでは、未来へつながる笑顔が生まれる」というコンセプトのもと、公認の部(陸連登録競技者による4×100mリレー)のほか、仮装リレー、家族対抗リレー、部活動対抗リレー、小学生リレー、ウォーキングリレーなど全17種目が実施され、子どもから高齢者まで誰もがリレーの楽しさを体感できる場として広く親しまれている。

解説――国立競技場(新国立競技場)について

国立競技場(JAPAN NATIONAL STADIUM)は、東京都新宿区霞ヶ丘町に所在する陸上競技場兼球技場であり、1958年に開場した国立霞ヶ丘競技場陸上競技場(旧・国立競技場)の老朽化対応と、東京オリンピック・パラリンピックの主会場とすることを念頭に、旧・国立競技場の全面改築により建設された。2016年12月に着工し、2019年11月に竣工。2019年12月21日に開場式が開催された。

「杜のスタジアム」をコンセプトに、国産木材をふんだんに使用した世界的にも珍しい木のぬくもりが感じられるスタジアムとして設計された。設計は建築家・隈研吾氏が担当。視界を遮る柱を持たない3層スタンドは360度つながっており、観客とアスリートに一体感が生まれる構造となっている。収容人員は約6万人。

2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいては「オリンピックスタジアム」の名称でメイン会場として使用され、開閉会式および陸上競技トラック・フィールド種目の舞台となった。

※本ブログは、公式記録および関係団体の公式発表、陸上競技専門メディアの公開記事、ならびに信頼性の高い報道・Web記事を参考資料として作成しています。記事中の競技分析および考察は、運動生理学・スポーツ科学等の知見に基づく筆者の見解であり、松本奈菜子選手、関係者の方々の見解や立場を示すものではありません。
※本記事に掲載の地図は、Google マップの埋め込み機能を利用して表示しています。
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