【2022年度:第11戦】第70回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会――10年ぶりの長良川競技場で示したチームへの誠実な貢献

目次

大会情報

大会名:第70回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会
開催日:2022年9月23日 – 25日
会 場:岐阜メモリアルセンター長良川競技場(岐阜県岐阜市)

レース結果

女子200m

記 録:24秒31(−0.7)
順 位:4位
備 考:予選 24秒50( 2組2着 )

女子400m

記 録:53秒66
順 位:2位
備 考:予選 53秒81( 1組1着 )

女子4×100mリレー

記 録:46秒78
順 位:3位
備 考:1走 青木 2走 武石 3走 松本 4走 広沢
備 考:タイムレース /2組3着

( 出典:東邦銀行陸上競技部 公式サイト「大会日程・結果」
( 出典:日本陸上競技連盟「第70回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会」
( 出典:日本実業団陸上競技連合「第70回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会」競技会結果

松本奈菜子のコメント

今大会は順位に拘って挑んだ大会でした。なので、400mでは2位、200mでは4位とどちらも後一歩という結果になり悔しいです。来年はこの試合でもっと良い順位で終えれるよう準備をしていきたいです。記録としても今ひとつのところではあるので、ここから連戦になるので修正していけるようにします。応援ありがとうございました。

東邦銀行陸上競技部 公式サイト「大会日程・結果」選手コメント )

考察①初日のブログに綴られた、この大会の意味

大会初日の9月23日(チームは2日目と3日目に出場)松本は自身のブログに静かな決意を綴っている。台風の影響を案じ、実家のある静岡を気遣う言葉から始まるその文章は、やがてこの大会の持つ特別な意味へと向かっていく。

「全日本実業団はチームみんなで戦うことのできる唯一の試合です。自分の試合結果がチームの良い雰囲気に繋がるように頑張りたいと思います」

( 出典:東邦銀行陸上競技部 選手ブログ〔 2022年9月23日 〕

全日本実業団は、個人の記録を競う場であると同時に、一人ひとりの順位がチームの得点に直結する対抗形式の大会である。この言葉には、この言葉には、チームの一員として走ることへの誇りと責任感が、飾ることなく真っ直ぐに表れている。

また松本はブログの中で、長良川競技場が高校時代の東海総体・岐阜清流国体以来、約10年ぶりの舞台であることも記している。「1点でも多くと思って決勝進出や上位入賞を目指した試合だった」という高校時代の記憶と重ねながら、今は実業団の選手として同じトラックに立つ。その感慨の深さが、この大会への向き合い方にも滲んでいたのではないかと思われる。

考察②「順位にこだわった大会」という評価軸の意味

レース結果は、女子400m・2位(53秒66)、女子200m・4位(24秒31)、女子4×100mリレー・3位(46秒78)。いずれも上位入賞という結果でありながら、松本は「どちらも後一歩という結果になり悔しい」と語っている。

「今大会は順位に拘って挑んだ大会でした」という言葉が示すように、この大会では記録の数字よりも順位という評価軸を前面に置いていた。チームへの貢献という観点から見れば、より上の順位こそが価値を持つ舞台であるという認識が、この悔しさの背景にある。

記録面でも「今ひとつ」と率直に認めながら、それをシーズン終盤の疲労や連戦という状況の中で冷静に受け止めていること。感情に流されず、しかし悔しさを曖昧にもしない。この誠実な自己評価の姿勢は、松本が一貫して持ち続けてきたものではないかと思われる。

考察③3種目出場という役割の遂行

松本はこの大会で、200m・400mの個人種目に加えて4×100mリレーにも出場し、3種目すべてでチームの得点に貢献した。全日本実業団という対抗形式の大会において、複数種目にわたって出場し結果を残すことは、チームの選手として任された役割を最後まで果たすことでもある。

3種目を通じて走り切るためには、エネルギー配分や回復の管理が求められる。特にシーズン終盤という時期に、200m・400m・リレーという異なる種目特性を持つ3つのレースをこなすことは、身体への要求という点でも決して軽くはない。

それでも松本はすべての種目で役割を果たし、得点につなげた。そしてレースを終えた後に口にしたのは、達成感ではなく「修正していけるようにします」という言葉だった。その言葉が示す通り、松本はこの大会を、次へ向かうための通過点として捉えていた。

考察④「修正していけるようにします」――連戦を見据えた視線

「ここから連戦になるので修正していけるようにします」という言葉には、シーズン終盤を見据えた冷静な自己分析が込められている。世界陸上後の疲労、国内大会が続く中でのコンディション調整、感覚の微細なズレ——それらを理解した上で、この大会での経験を次へとつなげていこうとする姿勢がある。

初日のブログで「チームのために」と綴り、レース後には「修正して次へ」と語る。その一貫した言葉の流れの中に、松本という競技者の在り方が静かに表れている。

この秋、松本のシーズンはまだ続く。

解説――全日本実業団対抗陸上競技選手権大会について

全日本実業団対抗陸上競技選手権大会は、日本実業団陸上競技連合 が主催し、毎日新聞社が共催する、日本の実業団対抗による陸上競技選手権大会である。1953年の初開催以来70年以上にわたって継続されており、男女総合、男子総合、女子総合の3つの対抗成績が競われる、実業団陸上競技界における最も権威ある大会のひとつである。2005年以降は例年9月に開催されており、会場は持ち回りとなっている。

日本実業団陸上競技連合は翌年の国際大会への海外派遣や強化合宿を実施しており、この選手権での成績がそのような活動と結びつく舞台として、実業団選手たちにとって特別な意味を持っている。

解説――岐阜メモリアルセンター長良川競技場について

岐阜メモリアルセンター長良川競技場は、岐阜県岐阜市の岐阜メモリアルセンター内にある陸上競技場兼球技場である。施設は岐阜県が所有し、公益財団法人岐阜県スポーツ協会が指定管理者として運営管理を行っている。日本陸上競技連盟公認の第1種陸上競技場で、全天候舗装の9コースのトラックを有しており、国際的・全国的規模の競技大会が開催できる施設として整備されている。フィールド内ではサッカーやラグビー、ホッケーの試合も開催される多目的競技場である。

1987年に開催された第42回国民体育大会(岐阜国体)のメイン会場として整備された施設であり、その後2012年の第67回国民体育大会(ぎふ清流国体)でも再び主要会場として活用された。JリーグFC岐阜のホームスタジアムとしても知られており、長良川のほとりに位置する岐阜メモリアルセンターは野球場・体育館・プールなど多彩なスポーツ施設を擁する岐阜県の総合スポーツ拠点となっている。

なお、2026年4月1日からネーミングライツにより「ヒマラヤスタジアム岐阜(ヒマスタ岐阜)」の愛称が使用されている。 日本陸上競技連盟公認 第1種競技場である。

※本ブログは、公式記録および関係団体の公式発表、陸上競技専門メディアの公開記事、ならびに信頼性の高い報道・Web記事を参考資料として作成しています。記事中の競技分析および考察は、運動生理学・スポーツ科学等の知見に基づく筆者の見解であり、松本奈菜子選手、関係者の方々の見解や立場を示すものではありません。
※本記事に掲載の地図は、Google マップの埋め込み機能を利用して表示しています。
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