大会情報
大会名:第69回 全日本実業団対抗陸上競技選手権大会
開催日:2021年9月24日 – 26日
会 場:ヤンマースタジアム長居(大阪市)
レース結果
結果①:女子200m
記 録:23秒88(−0.4)
順 位:3位
予 選:1組1着 23秒83(+0.9)
備 考:自己ベスト
備 考:初の23秒台
結果②:女子400m
記 録:53秒02
順 位:2位
備 考:自己ベスト
予 選:1組1着 53秒22
備 考:予選も決勝も自己ベスト
備 考:日本歴代6位
結果③:女子4×100mリレー
記 録:45秒49
順 位:1位
備 考:シーズンベスト
( 出典:東邦銀行陸上競技部 公式サイト「大会日程・結果」)
( 出典:日本陸上競技連盟 第69回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会「リザルト」)
松本奈菜子のコメント
200m、400mの両種目で自己ベストを更新することができ、良かったです。
200mでは23秒台が出て嬉しかったですが、課題も見つかったので、今後は23秒台中盤までタイムをあげていけるようにしたいです。また、400mでは52秒台を出すことができず悔しい結果となりました。スピードもついてきたので、400mにも活かしていけるようレースに落とし込んでいきたいです。4×100mRでは優勝することができ、嬉しかったです。
女子総合優勝、男女総合優勝を達成することができず悔しかったです。来年としか言いようがありませんが、来年こそ総合優勝をできるよう、また一年積み重ねて良い結果に繋がるようにしたいです。応援ありがとうございました。
考察①コロナ禍での開催という背景
第69回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が9月末まで延長されたことにより、実施が危ぶまれた時期もあったが、主催・主管の尽力により、入念な準備と徹底した予防策のもとで開催が実現した。1日あたり5000人を上限としつつも観客の入場が可能となり、選手たちのパフォーマンスを温かな拍手が後押しした。
こうした状況の中で行われたこの大会は、参加した選手全員にとって特別な意味を持つ舞台であったと思われる。松本も2021年シーズンの集大成として、ヤンマースタジアム長居のトラックに立った。
考察②400m――予選から2レース連続自己ベスト更新と、53秒02という記録の重み
今大会の400mで松本が示したものは、一つの数字だけでは語り切れない。予選で53秒22、決勝で53秒02と、2レース連続で自己記録を更新した。決勝の53秒02は日本歴代6位に浮上する好記録である。
同種目では青山聖佳(大阪成蹊学園職)が52秒60の大会新記録で優勝しており、松本は2位という結果となった。しかし「52秒台を出すことができず悔しい」という言葉には、2レース連続で自己ベストを更新しながらも、自らが設定した「52秒台」という次の基準へ届かなかったという、内的な評価軸の高さが滲んでいる。
1日に予選と決勝を走り、両方で自己ベストを更新するということは、体力・技術・集中力のすべてが高い水準で整っていたことを示している。53秒02は到達点ではなく、52秒台へ向かうための確かな出発点として受け止めることができるのではないだろうか。
考察③200m――初の23秒台突入がもたらしたもの
最終日の200mでは、予選で初の23秒台突入となる23秒83(+0.9)をマークし、決勝でも23秒88(−0.4)のセカンドベストで3位に食い込んだ。
予選での23秒83は、松本にとって初めて23秒台に入った瞬間であった。「23秒台が出て嬉しかった」というコメントが示す通り、この記録には単なるタイムを超えた意味がある。
200mで発揮できる絶対スピードの向上は、400mの前半局面を余裕を持って走れる力の底上げにつながる。「スピードもついてきたので、400mにも活かしていけるようレースに落とし込んでいきたい」という松本の言葉は、この二種目が松本の中で一本の線でつながっていることを示しているのではないかと思われる。「今後は23秒台中盤までタイムを上げていけるように」という目標も、自己ベストを祝うのではなく、すでに次を見据えている松本らしい言葉として深く伝わってくる。
考察④4×100mリレー優勝と、チームへの視野
45秒49(シーズンベスト)でのリレー優勝は、チームとして走り切った結果である。松本がアンカーとしてこの記録に貢献したことは、スピード領域の底上げを裏づけるものでもある。
そして、松本のコメントで特に印象深いのは、個人の記録への言及に続いて「女子総合優勝、男女総合優勝を達成することができず悔しかった」という言葉が添えられている点だ。自分の走りへの評価と、チームとしての結果への責任感が同じ重みで語られていること。ここに、実業団選手としての松本の視野の広さが表れている。
考察⑤「来年こそ総合優勝を」――2021年シーズンの締めくくりとして
「来年としか言いようがありませんが、来年こそ総合優勝をできるよう、また一年積み重ねて良い結果に繋がるようにしたいです」という言葉は、2021年シーズンの締めくくりとして、前を向いた宣言として残る。
日本陸上競技連盟のレポート において松本は「五輪代表以外の選手で、この大会が来季以降の飛躍の契機となりそうな印象を持った」選手のひとりに挙げられている。この評価は、記録の数字だけでなく、複数種目での自己ベスト更新という内容の充実を見たものではないかと考えられる。
200mで23秒台、400mで53秒02(日本歴代6位)、リレーで優勝。これらが同じ三日間に成立したという事実は、2022年シーズンへ向けた確かな土台として、このアーカイブに刻まれるべきものである。
解説――全日本実業団対抗陸上競技選手権大会について
全日本実業団対抗陸上競技選手権大会は、日本実業団陸上競技連合が主催し、毎日新聞社が共催する、日本の実業団対抗による陸上競技選手権大会である。1953年の初開催以来70年以上にわたって継続されており、男女総合、男子総合、女子総合の3つの対抗成績が競われる、実業団陸上競技界における最も権威ある大会のひとつである。2005年以降は例年9月に開催されており、会場は持ち回りとなっている。
日本実業団陸上競技連合は翌年の国際大会への海外派遣や強化合宿を実施しており、この選手権での成績がそのような活動と結びつく舞台として、実業団選手たちにとって特別な意味を持っている。
解説――ヤンマースタジアム長居について
ヤンマースタジアム長居は、大阪府大阪市東住吉区の長居公園内に位置する陸上競技場兼球技場である。正式名称は「長居陸上競技場」。1964年に開場し、1996年に拡張全面改修が行われ、現在の形となった。
日本陸上競技連盟第1種公認陸上競技場であり、地上5階建てのスタジアムで収容人数は約5万人。スタンドの頭上を覆う曲線の屋根はそれを支える柱を必要としない構造で、すべての席からフィールドやトラックを遮られずに見渡すことができる。400m×9レーンのトラックと107m×71mの天然芝フィールドを有している。
陸上競技においては、日本選手権が1996年・2007年・2012年・2017年・2021年・2022年・2023年と複数回にわたって開催されており、日本の陸上競技界における主要な舞台のひとつとして、長年にわたり親しまれている。
国際大会としては2007年世界陸上の会場となったほか、例年大阪国際女子マラソンの発着点としても使用されるなど、陸上競技の歴史において特別な位置を占めるスタジアムである。また2002年FIFAワールドカップの開催地ともなり、サッカーをはじめ多岐にわたる国際スポーツイベントの舞台としても知られている。
現在の「ヤンマースタジアム長居」という名称は、2014年3月1日から、セレッソ大阪の母体企業でもあるヤンマーが命名権を取得したことによるものである。


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