大会情報
大会名: 第35回静岡国際陸上競技大会
開催日: 2019年5月3日
会 場: 小笠山総合運動公園エコパスタジアム
レース結果
女子400m
記録: 54秒45
順位: 4位
( 出典:東邦銀行陸上競技部 公式サイト「大会日程・結果」 )
( 出典:日本陸上競技連盟 公式サイト 第35回静岡国際陸上競技大会「リザルト」等 )
松本奈菜子のコメント
スタートの出だしは良かったですが、バックストレートで回っている足を自分でセーブしながら走ってしまいました。その為、250mからの切り替えを上手くできずキレのない走りになってしまいました。木南ではうまくバックストレートで乗れるようにしたいです。
考察①社会人2戦目の位置づけ――「修正の検証」という一戦
第35回静岡国際陸上競技大会は、松本奈菜子にとって東邦銀行入社後2戦目の公式レースであった。同時に、高校3年時に400mで優勝を飾った記憶の残る舞台でもある。
実業団デビュー戦となった出雲陸上では、「スタートの加速がうまく飛び出せず、上体も起き上がってしまった」という課題が明確に語られていた。その課題を携えて迎えたこの一戦は、修正したスタートがレース全体にどう波及するかを確かめる場としての意味を持っていたと考えられる。
考察②「スタートの出だしは良かった」――前戦からの修正という前進
松本はレース後、「スタートの出だしは良かった」と述べている。出雲陸上での課題として挙げられていたスタートの出遅れと上体の早期起き上がりが、一定程度修正されたことを示す言葉として、まず注目したい。
静止状態から加速局面へ移行する際のリズムと姿勢が整い始めていること。これは2試合という短い期間の中での、確かな前進として受け止めることができるのではないだろうか。スタートという起点が機能し始めたことで、レースの出発点としての土台は着実に築かれてきていると思われる。
考察③バックストレートでの「セーブ」――心理的な抑制という課題
しかし松本はこのレースの核心を、中盤のバックストレートに見ている。「バックストレートで回っている足を自分でセーブしながら走ってしまいました」という言葉は、本来維持すべき巡航のスピードを自ら意図的に落とした状態を指摘したものである。
400mにおけるバックストレートは、前半の加速で得た流れを保ちながら後半への準備を整える、レース構造上の重要な局面にあたる。ここで巡航速度を落とすことは、その後の局面転換に影響を及ぼしやすいと考えられる。
「失速してしまうかもしれない」という気持ちが、意図せずブレーキとして作用した可能性が考えられるのではないだろうか。スポーツ心理学では、こうした将来の失敗への不安が現在の行動を抑制する心理的なメカニズムが知られており、経験を重ねる中で感覚の精度が高まっていくものとされている。
考察④250mでの切り替え不全という連鎖
バックストレートでスピードが落ちた状態から、250m地点での局面転換を試みることになった。しかし「250mからの切り替えを上手くできず、キレのない走りになってしまいました」という言葉が示す通り、巡航からスパートへのギアチェンジが成立しなかった。
400mの勝負どころのひとつは、この巡航からスパートへという流れが滑らかにつながるかどうかにある。バックストレートで一度スピードが落ちた状態では、そこからのギアチェンジに余分なエネルギーと意識が必要となり、動作の「キレ」として感じられるはずの反応が鈍くなりやすいと考えられる。
「キレのない走り」という松本の自己評価は、体力そのものの問題ではなく、中盤で流れが一度途切れたことによる構造的な影響として受け止めるべきであるように思われる。
考察⑤スタート改善が照らした新たな課題――技能習得の段階的な深化
このレースで重要なことは、出雲陸上で課題だったスタートが改善されたのと同時に、バックストレートという新たな課題が浮かび上がった点である。
これは後退ではなく、むしろ技能習得の自然な過程として理解できるのではないだろうか。ひとつの局面を修正すると、それまで見えていなかった別の局面の課題が顕在化する。このような段階的な深化を経ながら、400mという種目全体への理解が積み重なっていく。
スポーツ心理学では、達成経験の積み重ねが自己への信頼感を育てる重要な源泉とされている。スタートが機能し始めたというこの大会での手応えは、次戦へ向けた確かな一歩として、松本選手の中に積み上げられていったのではないかと思われる。
そして「木南ではうまくバックストレートで乗れるようにしたい」という言葉に、その前向きな姿勢が静かに表れている。課題の所在を正確に把握し、次走への修正を即座に言語化できること。このメタ認知的な力こそが、松本選手の競技者としての歩みを支えているのではないだろうか。
解説――静岡国際陸上競技大会について
静岡国際陸上競技大会(通称:静岡国際)は、毎年5月上旬のゴールデンウィーク期間中に開催される日本の陸上競技大会である。静岡陸上競技協会、静岡新聞社、静岡朝日テレビが主催し、日本陸上競技連盟が後援する。かつては静岡県静岡市の草薙総合運動場陸上競技場で開催されていたが、静岡県袋井市の小笠山総合運動公園スタジアム(エコパスタジアム)の完成後は同会場での開催となっている。
「日本グランプリシリーズ」の一戦として位置づけられており、2021年からは World Athletics Continental Tour(ワールドアスレティックス コンチネンタルツアー)ブロンズ大会を兼ねて開催されている。世界選手権大会やオリンピックの開催年には代表選考を兼ねる大会として重要な意味を持っており、国内外のトップアスリートが集う舞台として広く知られている。ゴールデンウィーク中の開催ということもあり、毎年多くの観客が訪れる。
解説――World Athletics Continental Tour(ワールドアスレティックス コンチネンタルツアー)について
World Athletics Continental Tour(ワールドアスレティックス コンチネンタルツアー)は、World Athletics(ワールドアスレティックス)が公認する国際陸上競技大会の年間シリーズであり、2020年に創設された。ダイヤモンドリーグに次ぐ第2層の競技会として位置づけられており、それ以前に開催されていたIAAFワールドチャレンジシリーズの後継大会にあたる。選手たちに賞金獲得とワールドランキングポイント獲得のための高水準な競技機会を提供することを目的としている。
創設当初はゴールド・シルバー・ブロンズの3カテゴリーで構成されており、ゴールドカテゴリーの大会はワールドアスレティックスが直接投資・運営を担い、シルバーおよびブロンズカテゴリーの大会は各地域の陸上競技連盟が管理・運営を担当する形となっている。その後、2022年からチャレンジャーカテゴリーが加わり、現在はゴールド・シルバー・ブロンズ・チャレンジャーの4カテゴリーで構成されている。
解説――小笠山総合運動公園エコパスタジアムについて
小笠山総合運動公園エコパスタジアム は、静岡県袋井市の小笠山総合運動公園内にある陸上競技場兼球技場である。施設は静岡県が所有し、静岡県サッカー協会グループが指定管理者として運営管理を行っている。
「健康とスポーツと自然」をテーマとした多目的総合運動公園の中核施設として、2001年5月に供用が開始された。収容人員は50,889人で静岡県下最大の多目的競技場であり、陸上競技・サッカー・ラグビーをはじめ、コンサートや文化芸能イベントなど多彩な用途に活用されている。ください。
「エコパ(ECOPA)」という愛称は、小笠山に近いことから「山彦」を意味する「Echo」と、友達・仲間、地域・自然との共生を図るという意味合いを込めた「友」を意味する「Pal」をかけ合わせた造語である。
日本グランプリシリーズである静岡国際陸上競技大会の会場としても広く知られており、陸上競技においては日本国内有数の競技環境を誇る舞台として定着している。
参考資料
日本陸上競技連盟 公式サイト 第35回静岡国際陸上競技大会「リザルト」等
日本陸上競技連盟 公式サイト「第35回静岡国際陸上競技大会」
東邦銀行陸上競技部 公式サイト「大会日程・結果」選手コメント
You Tube 日本陸上競技連盟「日本グランプリシリーズ静岡大会(第35回静岡国際陸上競技大会) 2019年5月3日」 ※松本奈菜子が登場するのは 6:00:50 ~
日本陸上競技連盟 公式サイト「第35回静岡国際陸上競技大会」
日本陸上競技連盟 公式サイト「第36回静岡国際陸上競技大会」(2021年)お知らせ
World Athletics 「Calendar / Results」
World Athletics「World Athletics Continental Tour to launch in 2020」
World Athletics「World Athletics Continental Tour 」公式サイト
World Athletics「Countdown to the 2022 World Athletics Continental Tour」


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